セミナー参加(中国投資、国際税務研究会)

昨日は、税務研究会(国際)さんの研修で、中国投資・コスト回収のセミナーに参加しました。講師は、PWCの梁瀬先生です。いつもよりは少し少ないかもしれませんが、70~80名の参加者がいらっしゃいました。
私の経験上、在阪企業の海外進出は、中国だとすっかり生産活動等が安定してきてはいるが、逆に人件費等が高騰してきたり、日中間の情勢が不安定だったりしているので、別の第三国への進出に変わってきているように把握しています。以前から人気のあるタイの他、近年はベトナムへの進出が相次いでいました。ベトナムに関しては少し意外な気もしますが、まだまだ発展途上の要素が多く、税務執行も不安定・不完全な部分はありますが、人件費の低さ・親日的なところが日系企業にとっては魅力的ではないでしょうか。

セミナーに戻りますと、中国税務の難しさはやはり執行上の不安定さ(法律・規定どおり)に執行がされないケースがあるという点でしょうか。例えば、税務上の一定の処理を事前に完了しておかないと日本への送金が許可されないということが特徴的です。このあたりしたたかといいますか、さずが三千年の国の知恵というか、日本も見習うべき点はあるのでは。例えば、一時期外資系のファンドが不良債権処理で大きな利益を上げたものの、日本で税金を負担することなく海外に資金を逃がしてしまったことがありました。その当時の税制では課税できず、後に税制改正で整備された経緯があります。このあたりも送金処理のところで手をうっていれば、もっと早く税制改正等が進んだ可能性もあるのではないかと思います。儲けた方々にきっちりと税金を負担していただくのが、税法の原則です。(もちろん海外からの投資により、地価等の回復が早く進んだという面はありますので、日本国としてメリットは受けていると思いますが。)

中国税務の動向で注目すべき点は、2014年7月に中国当局から出された通達で、外資企業のサービスフィー及びロイヤリティに関する状況調査をするように指示が出ていることです。期間は2004年から2013年の10年間で、例えば海外のタックスヘイブン国へ支払っている場合や経済的実質が不明確な場合、状況調査にとどまらず、否認される可能性もあるようです。
(参考) http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews-international-china-hong-kong/china-jun-2014.jhtml

セミナーを通して受けた感想は、セミナーの中では基本的には日本では法律どおりに税務執行が行われるが、中国では調査官のさじかげんで執行が決まってしまうため注意を要するといった論調でした。もちろん対比論でいうとそのような指摘も正しいとは思いますが、日本の税務執行が本当に法律どおりに執行されているかどうかという点については、疑問に感じています。民間で実務経験のある税理士さんは皆さん気づいていることですが、建前は法律・通達どおりの執行ということになっておりますが、現実は異なる点が結構あります。このあたりをどう把握して、日常の税務処理を進めていくことができるかが、税務担当者及びそれをサポートする税理士の腕の見せどころと思います。

 


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