セミナー参加(国際税務戦略、国際税務研究会)

昨日、税務研究会(国際)さんの研修で、国際税務戦略についてのセミナーに参加しました。講師は、高橋宏幸先生です。高橋先生は、国税庁のキャリア採用の方で、国税庁勤務など国際課税の最前線で陣頭指揮を取られた方です。税理士になられてからは大手税理士法人でのご経験や海外での勤務経験もなされているようです。セミナーでは先生のご経験された豊富な経験を基に、国際税務について税務面での制度面の解説に加え、日本企業がこれから進むべき戦略(人事制度、文化の違い等)について、方向性を示唆されていたのが印象的でした。

私も国際税務(戦略)というのは、単に税務のテクニカルな問題だけではなく、企業が進むべき方向性(企業グループ再構築、海外販売戦略、人事制度等)を、たんに税務の面から検討したものであると捉えているため、大局的な見地から企業をサポートする必要があると考えています。つまり税務の有利不利だけで判断するのではなく、営業戦略・人事制度・企業ブランド構築などとともに、税務も一つの重要なパートとして検討する必要があるのではないかと思っています。例えば、企業の税務戦略をご担当される部長クラスの方々には、会計税務の実務的な知識のみならず、役員クラスの見識・大局観が今後求められていると思います。そのような方々から直接アドバイスを求められる税理士は、当然税務の知識のみならず、常識の範囲内でざまざまな見識を深めておく必要があると考えています。

また、もう一つ印象的だったのが最後の税務調査対応のパートで、国税調査官が置かれている現状について熱く解説されていたのが、印象的でした。私も以前から、国税調査官が税務調査で成績を上げるために必死になって厳しい調査を行うマインド(モチベーション)はどこからくるのだろうと、疑問に思っていました。先生がおっしゃていた「公務員であるため給与等待遇には大きな差がつかないので、優秀な人に頑張ってもらうためには、昇進等で差をつける必要がある。そのため、目に見える形で成績が出る税務調査で、各調査官が頑張るモチベーションが生まれているのではないか」という示唆は、なるほどと思いました。

最後に、国税庁等でご活躍されていた諸先輩が民間でも活躍されているのを拝見して、嬉しく思いました。頑張る人はどこに行っても頑張るので、私自身も諸先輩や同期・後輩の皆さんに恥じぬよう頑張っていきたいと、改めて思いました。


セミナー参加(中国投資、国際税務研究会)

昨日は、税務研究会(国際)さんの研修で、中国投資・コスト回収のセミナーに参加しました。講師は、PWCの梁瀬先生です。いつもよりは少し少ないかもしれませんが、70~80名の参加者がいらっしゃいました。
私の経験上、在阪企業の海外進出は、中国だとすっかり生産活動等が安定してきてはいるが、逆に人件費等が高騰してきたり、日中間の情勢が不安定だったりしているので、別の第三国への進出に変わってきているように把握しています。以前から人気のあるタイの他、近年はベトナムへの進出が相次いでいました。ベトナムに関しては少し意外な気もしますが、まだまだ発展途上の要素が多く、税務執行も不安定・不完全な部分はありますが、人件費の低さ・親日的なところが日系企業にとっては魅力的ではないでしょうか。

セミナーに戻りますと、中国税務の難しさはやはり執行上の不安定さ(法律・規定どおり)に執行がされないケースがあるという点でしょうか。例えば、税務上の一定の処理を事前に完了しておかないと日本への送金が許可されないということが特徴的です。このあたりしたたかといいますか、さずが三千年の国の知恵というか、日本も見習うべき点はあるのでは。例えば、一時期外資系のファンドが不良債権処理で大きな利益を上げたものの、日本で税金を負担することなく海外に資金を逃がしてしまったことがありました。その当時の税制では課税できず、後に税制改正で整備された経緯があります。このあたりも送金処理のところで手をうっていれば、もっと早く税制改正等が進んだ可能性もあるのではないかと思います。儲けた方々にきっちりと税金を負担していただくのが、税法の原則です。(もちろん海外からの投資により、地価等の回復が早く進んだという面はありますので、日本国としてメリットは受けていると思いますが。)

中国税務の動向で注目すべき点は、2014年7月に中国当局から出された通達で、外資企業のサービスフィー及びロイヤリティに関する状況調査をするように指示が出ていることです。期間は2004年から2013年の10年間で、例えば海外のタックスヘイブン国へ支払っている場合や経済的実質が不明確な場合、状況調査にとどまらず、否認される可能性もあるようです。
(参考) http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews-international-china-hong-kong/china-jun-2014.jhtml

セミナーを通して受けた感想は、セミナーの中では基本的には日本では法律どおりに税務執行が行われるが、中国では調査官のさじかげんで執行が決まってしまうため注意を要するといった論調でした。もちろん対比論でいうとそのような指摘も正しいとは思いますが、日本の税務執行が本当に法律どおりに執行されているかどうかという点については、疑問に感じています。民間で実務経験のある税理士さんは皆さん気づいていることですが、建前は法律・通達どおりの執行ということになっておりますが、現実は異なる点が結構あります。このあたりをどう把握して、日常の税務処理を進めていくことができるかが、税務担当者及びそれをサポートする税理士の腕の見せどころと思います。

 


書籍(国際税務)

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昨日、書店で見かけたので購入してみました。10年ほど前、国際税務について触れている書籍等は少なかったので、古橋さんが出されていた「納税者反乱」や橘玲さんのシリーズは熟読していた覚えがあります。当時は、こんなに国際税務と縁が深くなるとは思っていませんでしたが。

今は、図解シリーズ(大蔵財務協会)からも国際税務に関するものが出版されるようになり、ずいぶんメジャーになったものだと思います。

内容は、最近の国際税務全般について、まとまって記載されており、国際税務初心者の方には是非ともおすすめです。筆者の古橋さんは、元々EY(アーンストアンドヤング)の方だったんですね。

最後に出国税について論評(予測)されているあたり、非常に興味深く感じました。含み益に課税するとなると、組織再編の含み益課税のようなものでしょうか。法人のオーナーが有する株式等は、一番、ターゲットになりそうですね。所得区分は性質から判断すると、譲渡所得でしょうか。個人課税部門ではなく、資産課税部門の所掌範囲ですね。出国する前に課税を完結するとなると、かなり陣容を整備する必要がいりそうです。おっと、出国税に深い入りしすぎそうなので、このテーマはまた別で。

基本的には法人も個人もどんどん海外に進出すべきという論調で記載されています。

私の経験上では、進出していくべきではあるものの、やはり失敗事例等を目にすることがありますので(当局~ファーム時代)、やるべきではあるものの、細心の注意をはらい十分信頼できるパートナー・専門家とともに行動すべきといったところでしょうか。

最近よく耳にして共感するところがあるのは、税金だけ(節税だけ)で行動するのは、やはり失敗の原因になることが多いということなんですよね(相続税対策、海外移住、海外進出など・・・)。詳しくは、また別の機会に。