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セカンドオピニオンの活用

当事務所には、以下のようなケースでセカンドオピニオンとしてのご依頼があるケースがあります。税務には、グレーゾーンがつきものであり、白黒はっきりとしない論点(争点)について判断(ジャッジ)が困るケースがつきものですが、当方が重要しているのは「納得感」です。そのためには、その「判断」を行うにあたって何をもって根拠とするのかが重要だと思います。

・税務調査で税務当局からの指摘事項につき「納得感」がない(顧問税理士の説明(反論)についても、根拠が明確でなく「納得感」がないようなケース)

→課税要件の整理と事実認定に至るプロセスを納得いくまで説明を求め、あいまいなようであれば、修正申告に応じないという断固とした信念が必要(税務当局が勧奨する事項に納得感があり、理にかなっているのであれば、早期決着や対応コストを削減する観点から、修正申告に応じるのも有用)

・大手税理士法人からコンサルを進められているが、見積金額に「納得感」がない(なぜそのような工程が必要であり、それを対策しなかった場合のリスク度合いの確率に関する説明・根拠があいまい)

→大手税理士法人・中小コンサル・国税OB・弁護士法人(税務対応)などの使い分けが必要であり、そのコンサルの目的・費用に応じて、適切な外部コンサルを活用する。コンサル費用を削減するのが有用なのではなく、目的に応じて、適切に使いこなすことが重要(製造業における原価管理と同じ)。税務リスクは目に見えないこともあり、安易に「自社のような規模には関係のない論点である」、「事業部は経理の言うことは聞いてくれないのであきらめる」といった言い訳は無用。手をぬかずに考え抜くことで、会社に適切な貢献ができる(とはいえ、一定のやり過ごしも重要なので、客観的に適切な判断がされているのかどうか、他社事例・金額重要感からの適切な判断が肝心)

 


仕組み(実務)や法律を理解すると見えなくなるもの

税制には、複雑な仕組みのものがありますが、国際税務や移転価格制度は典型的な例です。税務セミナーで移転価格制度を解説する際には、「取引の価格」を比較するのではなく「利益率を比較する(会社を比較する)」ということが分かれば、一気に理解が進みますといったポイント解説を心がけています。しかし、会社を比較するといっても、まったく同じようなことをやっている子会社がそうそうあるわけではなく、そのような客観的な方法を使って、取引価格の妥当性を逆算して、割り切りの検証をしているだけですよ、というのはなかなか一般の方には分かりずらい仕組みです。(イメージでいえば、所得税の所得計算を、個別の経費性に応じて可否を決めるのではなく、同業者平均の利益率でトータルの所得の妥当性を検証する方法。所得税では使えなくなった計算方法ですが、最新の国際税務では古い方法に戻っているのが面白いところです。※この経費がOKかどうかではなく、〇〇業なら、売上の〇〇%ぐらいまでの経費はOKですよ、といったイメージ)(製造子会社で広告宣伝機能リスクがなければ、平均原価率〇~〇%まではOK、それならば親子間の取引価格は逆算してもOKです、といった仕組みです)

したがって、企業の移転価格税制に関する対応をうまくコンサルするためには、税制の仕組みや実務を理解するだけではなく、実際にやっていく人の「気持ち」や「考え方」を理解することが何よりも重要かと思っています(たとえ、間違っていたとしても)。移転価格の税務コンサルと接していて、正しいことの説明を受けていたとしても、企業がこれまで整理した考え方や本来、どうあるべきか、税務リスクへの向き合い方などをきっちりと勘案しながらアドバイスできていなければ、きっと良い解決はうまれないでしょう。実務を理解しすぎると、かえって一般的な考え方や本来どうあるべきかが見えなくなるといったことがあるのかな、と最近、思うことが多いです。

似たような例で。税務調査では、国税当局から思ってもいないような指摘事項を受けることがあります。よく勉強されている税理士さんや弁護士さんだと、「課税要件事実」の考え方に基づき、どういった事実認定による課税なのか、まったく理解できない、という声もきくことが多くあります。また、憲法に規定する「租税法律主義」の下、明確な税法上のルールがなければ、税務調査で更正決定を行うことはできない、という考え方も根強いです。一方、国税当局の視点で考えると、「課税は公平であるべき」「法律はあくまでも一定の基準を示したもので、グレーゾーンは事実認定で解決すべき」という考え方になります。こころがけるべきは、納税者サイドとしては、形式的な要件のみを重要視するのではなく、実態としても、課税上問題ないですよ!と実態に即した説明を相手(国税)目線できちんと主張できているか、国税サイドとしては、あるべき論だけではなく、事実認定から法律へのあてはめまでのプロセスの詳細な説明、法令・通達の解釈により、こういったケースではこのような結論が妥当です、といった制度趣旨に基づき納税者を納得させるような分かりやすい説明が求められていると考えています。納税者は要件史上主義、国税は理念史上主義、といった感じですが、その間に入る通訳(専門家)としては、双方の考えを理解しながら、上手に答えのない結果を導くといったところでしょうか。

また、法律というのはあくまでも制裁的な線引き(ルール)の指針を定めたものにすぎず、実際には制度の秩序を守ることが行政の役割なのかな、と捉えています。制限速度40Kの道路を走っている60kの車をスピード違反で検挙すべきではないですし、また30Kオーバー(赤切符)の車を見逃すのも許されることではないでしょう。無申告を繰り返すような悪質な納税者や脱税スキームを構築・利用するような納税者は厳しく追及すべきですし、きちんと申告書を提出している納税者の重箱のスミをつついて点数かせぎするような調査や事実認定が甘い状態で多額の追徴課税をふっかけて交渉する恫喝的な調査は行うべきではありません。税務調査とは、税法を守っているかどうかを調べているのではなく、自主申告納税制度といった制度の秩序を守っているのでしょう。

 


税務調査シーズン到来

10月から税務調査が再開され、納税者の方に税務調査の事前連絡がつぎつぎと入っているようですが、当事務所は法人様向けの対応がメインであり、飛び込み(税理士の紹介なし)の個人の方への税務相談・立ち合い等は、キャパシティとの関係から残念ながら遠慮させていただいております。

富裕層の方向けの調査で高額の追徴課税の指摘を受けた場合・国際税務の高度な論点で顧問税理士さんの後方援護をご依頼いただく場合など、限定的にご支援しております。ご理解どうぞ、よろしくお願いします。

個人の方(一般納税者の方)は税理士さん等のご紹介があった場合のみ、ご相談を承っております。また法人の方は、説明責任を明確にする必要があることから顧問契約を前提にご相談を承っておりますので、ご了承ください。http://yawatax.com/?page_id=158

顧問税理士を通じたご紹介のみ対応している理由は、以下のようなものです。

・専門家どうし共通の前提知識があるため、アドバイスをした際の理解が早い

・納税者と顧問税理士の関係が良好であり、そのようなケースでは納税者から専門家に対する一定のリスペクトが存在しており(報酬相場感を含む)、アドバイスしがいがある

 

 


ニュースレターの発行(2020年8月)

今月号のテーマは、

・国外取引等の課税に係る更正決定等の期間制限の見直し
・クロスボーダー型出資の適格性をめぐる地裁判決
です。
皆様のおかげで、多忙な日々となっている昨今、毎月のニュースレター送付とホットな税務情報の
提供が遅れぎみですが、こつこつとお送りしていきたいと思います。
 


異動日(7月10日)→新事務年度

7月10日は、国税局の人事異動の日であり、その日から新しい新事務年度が開始されます。コロナの影響でストップしていた税務調査が再開されるような例も出てきているようです。国際税務の対応は、自社や関与税理士様としっかりと事前準備して対応していただきたいところですが、税務調査では思わぬ指摘を受けて困られることも少なくないでしょう(富裕層などの個人の方も同じ)

税務調査で適正に対応を行うためには、国税側の思考や調査プロセスをきっちりと理解しておくことが重要です。関与クライアントの会社様には、その点を意識しながらきっちりと準備しているため、備えは万全です。関与クライアント様の税務調査では、普段の当方のアドバイスの成果が試される場ともいえるため、低価格の完全タイムチャージでご支援しています。最優先で対応。

一方、これまでご関与がなく、税務調査で困られた状況になってから当方を知っていただいてご支援依頼いただくようなケースでは、最初にある程度の着手金をいただき、状況をきっちりと時間をかけて把握したうえで、適切な対応を行います。これから、夏~秋にかけて、税務調査の最盛期となりますが、当社が緊急でご支援することが必要であれば、また適宜ご連絡いただければと思います。

税務調査は、病気と一緒で、税務の不準備(グレーゾーンの未把握など)は突然表面化します。備えあれば憂いなし。困った時に、きっちりと頼れるようなプロフェッショナルを、複数抱えておき、必要に応じて使い分けていただくような時代です。


税務セミナーを終えて

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。すべての論点を網羅的に説明することはできませんでしたが、税務に向き合う姿勢やポイントなどを参考にしていただけましたら、幸いです。複雑化する税務に対応するため、一般税務・特殊税務・税務調査対応・組織再編(M&A)のように異なる分野の個人税理士を使い分けていただくような企業が増えてきています。ちょうどたとえでご説明したサッカーのように、監督だけではなく、フィジカルコーチ・テクニカルコーチ・キーパーコーチなど、それぞれの役割を各専門家に委託して、監督はその総合判断を行う役割になってきています。ぜひ、企業の担当者は各専門家を上手に使いこなす役割を習得していただいたり(目利きを含む)、各事業部に指示・サポートを行う役割を担っていただき、国際化対応に臨んでいただけましたら幸いです。中小企業の社長さんが顧問税理士さんに事業承継の問題をよろず相談するように、中大企業のみなさまも国際化対応を外部のコンサルと相談しながら、進めていく時代なのかなと思っています。(外部コンサルの活用は、コストではなく投資です。適切に見極めて力を発揮させた際には、多大なリターンをもたらすことができるでしょう)。

数字を作る役割から、ポリシーを作る役割へ!ぜひ。


(書籍)「戦略コンサルタント」を読んで

(書籍)「戦略コンサルタント」(遠藤功氏、東洋経済)を読みました。当方の仕事と関連させながら読んでみたのですが、企業にとって変革の複雑さ・スピード感が高まっている昨今、企業変革の触媒の重要性がますます高まっているというところに興味を覚えました。私自身も、役所組織と大きな税理士法人で、約15~20年間ほど仕事をしていたわけですが、大きな組織を変化させることの困難さを感じていました。ほんとはもっとこうした方がいいのにと気づいていながら、自分の仕事をただ増やすのもイヤだ、上司は正当に評価してくれない、言っても無駄だというわけです。ここで外部の力を「触媒」として活用することにより、組織を動かすきっかけとする、内部の人では気づいていなかった重要な視点に気づかせる効果があるわけです。本来、企業の専門分野とは異なる外部のコンサルに費用を払って改革を行う(知恵を借りる)というのは、一見すると無駄なコストのように見えますが、それだけ得るものが多いからこそ、たくさんのコンサルティング会社が存在しているわけではないかと思います。(私自身も個別コンサルでは、必要に応じて、他社事例【セミナー・書籍等で得た情報を含む】を抽象化してご紹介することがあるのですが、改革というのも実は一定のパターン(事例)があって、それを最適に当てはめるだけで相当な効果があるのかと思います。)。その事例の蓄積の紹介がコンサルの価値の意義といえます。

私自身も、税務という一分野にはすぎませんが、みなさまの会社が良くなる触媒としての活躍ができればと思っています(私のセミナーを聞かれたご参加者は、自社にとって、どのように改革していけば良いのか理解されているはずです。問題は、それを実行できるかどうかです。)。国際税務は事前にきちんと備えておけば、税務調査での追徴課税は、数百万~1千万程度、無防備なら軽く億を超えることはしばしばです(もちろん規模感にもよります)。時代の変化についていけるかいなか、それは企業自身も、税務も同じです。

最後に、やはり物事を考え続けている人の考えを知るのは、大変参考になります。私も、そう評価していただけるように、日々精進あるのみです。


移転価格対応(キモは)

7月の税務セミナーでは、移転価格税制の勘所についてもご説明します。比較的、中小企業の皆様にとっては、移転価格税制は大企業の話で、自社には関係ないと思いがちですが、これからは海外子会社側で移転価格課税を受ける可能性が高まってきています。日本の税務当局が目をつける年間1億円の親子間取引の価格と、新興国の税務当局が目をつける年間1億円の取引、どちらがリスク高いでしょうか。

移転価格のコンセプトは、比較的、全世界共通で、日本と海外での理論武装(理屈付け)は一致させておく必要があります。以下の9ページから15ページあたりに概要が紹介されていますが、なかなか国際税務初歩者の方には、ハードルが高い(理解しにくい)コンセプトの税制となっています。ポイントは、粗利益率ではなく、営業利益率。(日本のみなさん、商売は通常、粗利で考えていますよね。でも、税制では営業利益が大切になります)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/kazeimondai/PDF/2014report_summary.pd

ぜひ、一度セミナーにご参加いただき、税制の要点(急所)を会得していただければと思っています。→「自社に関係ない(はず)と思って放置するか、制度を理解した上でリスクがあまり高くないので放置するかは大きく違います←これ重要です」


【コラム】プロ将棋士の訓練法と国際税務対応(税務調査対応)

藤井聡太さんが、将棋のタイトル戦挑戦(棋聖戦)されていることで、改めて将棋界が盛り上がっていますね。コロナ渦対応で悲観的なニュースが続くなか、明るい話題がテレビに出ることは喜ばしいことかと思います。昨今の将棋界の変化で特徴的なことは、AI(PC)を使った分析です。コンピューターどうしを戦わせ、さまざまな戦型ごとの想定局面(優劣に分岐ができる)の正解手をいかに覚えておけるかということが、プロの中で活躍を分ける違いになっています。つまりAIが点数という形で正解手を見つけてくれるので、これまでの経験や勘に頼った方法ではなく、アナログからデジタルに分析が変化したといえそうです。(※)一般的に、最近のプロ対戦で流行っている約100局程度の想定局面のうち、いくつかの分岐があり、正解・不正解が分かれる手順、数手をいかに正確に暗記できているか、ということが勝負の分かれ目になっているようです。

税務対応と比較してみましょう。これまでの企業税務というと、経験のある経理担当者(課長~部長)が、これまでの経験から、対応コストをみながらこのぐらいまで対応しようということを感覚で決めていたようなことが多かったと思います。そして、対応できていなかった部分やグレーゾーンについては、税務調査の際に、税務当局と阿吽の呼吸で、決着をするようなケースが多かったと思います。ところが、時代が変化してきて、グローバル化のさまざまな変化に企業がついていけないケース・国税側(税法)も対応できていないケースが増えてきており、税務調査はその時のトレンドで行われるようなケースが増えてきています(2000年台初頭の移転価格課税ラッシュ・昨今の包括否認・富裕層に対する一斉課税など)。また、税務調査官も自身で納税公平性の観点から問題あるかどうかを判断して指摘(決着)するような方法から、判断は国税内部の幹部・審理担当者に判断をゆだねるといったケースが増えていると思われます(ある意味、暴走的な調査は減りましたが、融通の利かない硬直的なケースが増えている印象です)

税務対応で必要なことは、国際税務を入門書や入門セミナーで勉強して理解することではなく、さまざまなトレンドの課税事例から逆算して、対応することが必要となってきています。そのためには、セミナー参加を源泉して実践的なセミナーを上手に選ぶか、いろいろな事例を知っているコンサルタントに知恵を借りることが大切かと思います。将棋の例でいえば、過去の体験に基づく経験則による戦いではなく、PCやAIなど外部を上手に活用し、うまく自身にとりこめた人が頂点に立つことでしょう。ただし、歯医者さん選びなどと一緒で、選び方が上手でないと、結局コンサルなんて役に立たないといった思い込みの原因にもなるので、選び方は大切です。つまり、自分で解決することを高めていく時代から、いかに上手に選ぶかを高める時代へ。税理士も、自身で税務知識を高める時代から、いかに専門書・税務ソフトを選ぶか、優秀な他士業とのネットワークを組めるかの時代です。

7月に大阪商工会議所で開催するセミナーでは、寄附金課税・移転価格課税・タックスヘイブン課税・駐在員課税・新興国での課税など、さまざまなケースにおいてこんな場合は税務調査で問題になるので事前準備しておいた方がいいですよ、このように回答できることが大切ですよ、と実践的なご説明をする予定です。毎年、ご参加いただくような企業様もいて、また参加者の方の理解度や経験値も増えてきたと思いますので、ベテランの税務担当者の方がなるほど~と思っていただけるような玄人ごのみの説明も、今年はしっかりとできればと思っておりますので、毎年リピートでのご参加も歓迎です。(※)最近は、クライアントの数を増やす方向ではなく、セミナー等を通じてさまざまな方に知っていただき、税務調査の際に、想定外の課税を受け困った時点で頼っていただければいいという方向に変更しております。とはいえ、事前にきちんと対策しておけば、こんな大きな話にはならなかったのになあと思う事例ばかりですが(税務申告書を作れば良いという時代から、税務戦略をきちんと準備すべき時代へ)