落としどころを意識する

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「税務調査の現場で国税調査官の指摘内容と会社の見解が異なるときに、国税OB税理士が同社の間を仲介し、どちらの言い分に理があるのかご判断いただき、一件落車となることも珍しくありません。これはその昔言われていたような国税調査官が先輩である国税OB税理士の顔を立ててさじ加減を甘くするというような時代錯誤な話ではなく、~、お互いが納得できるところに結論を導ける眼力を有しておられるからであると思います」(税務担当奮闘記、キャノン経理本部、菖蒲氏)

答えは一つであれば悩まないのですが、税務にはグレーゾーンと呼ばれる論点も多く、悩みどころです。ここで、一定の合理性の持つ結論を導きだせるかどうかが、専門家の腕のみせどころですが、国税OB(国税職員)は税務調査という現場で常に議論を積み重ねたこともあり、一定のおとしどころを意識して、課題に向き合っているのが特徴といえます。

移転価格税制は、特にグレーゾーンの象徴のような税制ですが、答えを探すのではなく、落としどころを探していく(今風にいえば、トランプのデールでしょうか)のが、実務のポイントといえます。

答えがある論点は、数多く出版されている書籍やセミナーなどを視聴いただくこととして、私のセミナーではできるだけ答えがでない論点を解説(どう考えれば国税に対して説得力のある回答をできるか)というところに着目しています。

※上記の書籍は良く販売されているようですが、大企業の税務担当者の努力・苦心をまとめられた書籍として素晴らしい作品と思います。