月別アーカイブ: 2014年11月

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セミナー参加(国際税務戦略、国際税務研究会)

昨日、税務研究会(国際)さんの研修で、国際税務戦略についてのセミナーに参加しました。講師は、高橋宏幸先生です。高橋先生は、国税庁のキャリア採用の方で、国税庁勤務など国際課税の最前線で陣頭指揮を取られた方です。税理士になられてからは大手税理士法人でのご経験や海外での勤務経験もなされているようです。セミナーでは先生のご経験された豊富な経験を基に、国際税務について税務面での制度面の解説に加え、日本企業がこれから進むべき戦略(人事制度、文化の違い等)について、方向性を示唆されていたのが印象的でした。

私も国際税務(戦略)というのは、単に税務のテクニカルな問題だけではなく、企業が進むべき方向性(企業グループ再構築、海外販売戦略、人事制度等)を、たんに税務の面から検討したものであると捉えているため、大局的な見地から企業をサポートする必要があると考えています。つまり税務の有利不利だけで判断するのではなく、営業戦略・人事制度・企業ブランド構築などとともに、税務も一つの重要なパートとして検討する必要があるのではないかと思っています。例えば、企業の税務戦略をご担当される部長クラスの方々には、会計税務の実務的な知識のみならず、役員クラスの見識・大局観が今後求められていると思います。そのような方々から直接アドバイスを求められる税理士は、当然税務の知識のみならず、常識の範囲内でざまざまな見識を深めておく必要があると考えています。

また、もう一つ印象的だったのが最後の税務調査対応のパートで、国税調査官が置かれている現状について熱く解説されていたのが、印象的でした。私も以前から、国税調査官が税務調査で成績を上げるために必死になって厳しい調査を行うマインド(モチベーション)はどこからくるのだろうと、疑問に思っていました。先生がおっしゃていた「公務員であるため給与等待遇には大きな差がつかないので、優秀な人に頑張ってもらうためには、昇進等で差をつける必要がある。そのため、目に見える形で成績が出る税務調査で、各調査官が頑張るモチベーションが生まれているのではないか」という示唆は、なるほどと思いました。

最後に、国税庁等でご活躍されていた諸先輩が民間でも活躍されているのを拝見して、嬉しく思いました。頑張る人はどこに行っても頑張るので、私自身も諸先輩や同期・後輩の皆さんに恥じぬよう頑張っていきたいと、改めて思いました。


法人税の調査事績(発表報道より)

今月、大阪国税局より法人調査事績の発表がありました。特徴的なのは、実地調査件数が前年度対比約90%でということで、調査件数の減少が見られていることです。これは改正国税通則法の影響で、調査手続きの厳密化等により内部手続きが増加したことによる影響があるものと思われます。
https://www.nta.go.jp/osaka/kohyo/press/hodo/h26/chosa_jiseki/01.htm
ただ国税当局としても税務調査がゆるくなったという印象を持たれることは、望んでいないと思われますので、今事務年度以降、税務調査の件数が通常どおりに戻っていくものと予想されます。実際に、本年7月以降活発に調査が行われている様子がうかがえます。
また、法人税の非違があったのは調査件数のうちの約7割ということで、調査があれば7割はなんらかの修正申告が発生していることになります(3割のうちには、他の税目「消費税・源泉所得税・印紙税」の非違がある場合も含まれます。)。

以前、調査実務の経験をしていた者からの感想とすると、対前年の数値等にこだわらず「悪質な納税者に対しては厳正な調査を、きっちりとコンプライアンスの意識が高い納税者に対しては指導を中心とした穏やかな税務調査を行う」のが、国民感情に合致する(社会から期待されている)のではないかと思います。
更正割合等の係数にこだわり、安易な期間損益(売上繰延や棚卸計上漏れ)で税務調査を終わらせるのではなく、やるべきことをきっちりと行うのが税務調査官の務めではないかと考えております。