企業の税務担当者の方から、たまに相談される話を少し。
グレーゾーンの税務判断について、何人かの税理士に質問した際に、税理士によって答えがばらばらでどう判断すればよいのか困るというものです。考え方によって答えが異なるからこそグレーゾーンという言えるのかもしれません。税務調査官と議論するためにも、いろいろな意見を知って考えておくことは大切だと思いますが、実務処理を進める上では一定の判断ルールを持っておく必要がありそうです。
私であれば、もっとも説得力のある根拠を示してくれている意見を採用するという方針にします。できれば、「①文理解釈(法律を文字どうりの解釈する方法)、②立法趣旨、③他社事例(その分野の実務動向を把握している)」の3点について、納得感のある回答をくれた税理士の意見を採用すると思います。裏をかえせば、他の実務事例を参考として示せないようなレベルであれば、参考の実務書読んで答えているとの何も変わらないですね。税理士選びの際のコツにもなると思います。
大規模法人では、税理士等の特性にあわせて、①大手税理士法人(BIG4など、広範な経験を有している)②国税OB(審理畑の方など、実務経験・税務リスクの見極めが豊富)③法律事務所(裁判までの対応を見据えた対応が可能)を使い分けている例もあるようです。もちろん案件の金額感・影響度に併せて、どこまで意見を聞くかという見極めも必要ですし、大手ではタイムチャージでの関与というのが一般的になっている(必要に併せて時間単位で税務相談する方法)ことも大きいと思います。自分の例であれば、②が中心となるかと思いますが、税務リスクの見極め(税務調査で争点が議論になった際に職権で更正処分されるレベルか、そのレベルではないので議論・問題提起で終了するのか、の可能性の大きさを判断する)のが得意分野ではないかと考えています。
企業の担当者の皆様に求められるのは、各専門家から得る回答の精度の見極める力と、その回答にあたって何を根拠にしているかという点の確認が重要ではないかと考えています。
【コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか?
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