タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の改正適用開始時期

タックスヘイブン税制は、細かな規定が多く、企業の皆様には特に難解な分野かと思います。以前は、タックスヘイブンに利益をため込むようなケースを捕捉するための租税回避防止的なケースが多かったのですが、「外国子会社合算税制」と名称が変わって、東南アジアやヨーロッパにある実態のある子会社でさえも、合算されるようなケースが増えてきています。(※合算課税とは、子会社が利益を計上した時点【親会社への配当前に】で、親会社の税金計算に含めて計上することを言います)。

最近、クライアントからこの税制に関するご相談が急増しています。以前であればなんとなく対応できていたものが、最近の税制改正で特に複雑になり、全体像を把握しきれなくなってきている状況なのではと推測しています。

平成29年税制改正において、大幅な改正が行われましたが、改正の適用開始時期は、子会社側の2018年(平成30年)4月1日開始事業年度から、適用開始となっています。

新法では、ペーパーカンパニー・キャッシュボックスに該当する場合には、租税負担割合が20%~30%でも合算課税が行われる可能性があるため、モニタリングを行う必要のある子会社の側が大幅に増えます(特に海外M&A等でグループごと買収を行ったようなケースでは、孫会社階層以下等の実態を細かく把握できていないようなケースも多いため、注意が必要です)。

タックスヘイブン対策税制は、合算課税が行われる場合、子会社の決算終了後、2か月を経過する日を含む親会社の事業年度において、合算が行われるため、次のような適用関係になります。

【親3月決算:子12月決算】

※子会社が1年決算の場合

・親平成31年3月決算は、子平成30年12月決算で判定するため(平成30年1月スタートの期)、旧法。

・親平成32年3月決算から、新法(税効果・税率差異の影響は、1Qから始まります)

【親12月決算:子12月決算】

・親平成31年12月決算は、子平成30年12月決算で判定するため、旧法。

・親平成32年12月決算から、新法(税効果・税率差異との影響は、1Qから始まります)

したがって、今回決算では旧法適用ですが、来年の事業年度に向けて今からご準備を開始されることをお勧めします。

※国際税務に関連する税効果・税率差異のチェックという限定的なアドバイスも承っております。お気軽にご連絡ください。