5月11日発売号の納税通信で、国際税務の初歩「移転価格税制と寄附金税制」について寄稿いたしました。
〇寄附金税制のポイントとしては、海外出張の目的で、親会社・子会社どちらのための出張であるかということを明確にし、きちんと自社のポリシーを作成して、説明できることが重要です(なんとなく税務調査の時に説明がつけば良いというものではなく、考え方を事前に整理して、その考え方に基づいて基準を作っておくと、説得力のある説明ができる←ポイント!)
〇移転価格税制のポイントとしては、「一般的に」、粗利ベースでの利益配分ではなく、営業利益ベースでの営業利益が重要な要素として考えることが大切です
売上 100 原価(仕入)△80 粗利20 ← 日本企業は、ここを重視しがち
営業費用(販売費・人件費)△15 営業利益5 ← 移転価格で重要なのはここ(グローバルな基準)
製造子会社や販売子会社で、研究開発や広告宣伝などの重要な機能を有する子会社は、営業費用を負担する分(機能・リスクを持っている分だけ)、単純な機能しか持たない子会社に比べて、営業利益が高くても問題ないことになります。
日本から見て、アジア子会社の営業利益率が、10%が妥当なのか、5%が妥当なのかは、子会社が有する役割(機能・リスク)がどうなのかという点と、同業他社の利益率が何%ぐらいなのか、移転価格のキモはこの分析になります。
〇余談
そして、グローバル企業の経理財務部門の人事評価の基準(KPI)には、営業利益5のさらに下の税金△2の後の、税引後当期利益3が重要視されます(昇進やボーナス査定の基礎)となる。経理財務部門の重要度や人材配置の厚さの違いは、このようなところにもよるところですが、日系企業もグローバル展開して、海外の人たちを評価していく必要性が高まってきたことからずいぶんと考え方は変わってきているようです。