研修参加(税務研究会)

昨日は、税務研究会さん主催の研修で、佐藤信祐さんのセミナーに参加しました。午前は、組織再編を活用したタックスプランニング、午後は、事業承継のための組織再編の活用です。佐藤先生は、トーマツご出身で日本でも数少ない組織再編税制の第一人者です。

感想は、少し面識があることがあり贔屓目かもしれませんが、これまで受けた税務セミナーの中で一番良かったと思いました。組織再編税制の検討をほとんどやったことがない方については、やはり再編税制の応用編の話が多いので、理解できない部分も多かったと思いますが、実務でやったことがある人にとっては、悩ましい論点についてさまざまなコツを知ることができ、有用だったと思います。6時間がこれほど短いと感じたセミナーはじめてでした。

法人税の組織再編税制については、主要な論点はほぼつぶれてきた感もがあります。これからは事業承継(株価評価)の点で、まだまだ検討の余地があると思います。そもそも、個人(会社オーナー)にとって非常に悩ましい株価評価(相続税)が、通達ベース(×法令)で決まっていることに問題の所在があると感じています。

個人課税の場合、法人税と違いPLがないので、さまざま割り切りがでてしまうのは仕方ないと思います。しかし、例えば、日本法人株式は類似業種等で工夫の余地があるが、外国法人株式は一律純資産評価など、税務専門家以外の一般の方はなぜ、こんなに外国子会社の評価が高くなるんだ!と納得できないですよね(実務的には比較対象が取れないのでやむを得ないと思いますが)。さまざまな事業承継の優遇税制を作る前に、納得感のある制度を再構築してほしいと考えます。(海外には相続税がない国も多いですが、ある国ではどのように株価評価しているのか気になります。M&Aなんかで使っているDCFや収益還元などの予想が入った数字で認めてしまっているのでしょうか。) 

また、午前のセミナーの中で、包括否認規定の話がありました。ヤフー裁判の地裁判決では、「経済合理性がない」「制度趣旨に反する場合」には、包括否認規定が発動すると判示されています。なかなか興味深いテーマで、税務専門の弁護士・税理士は最近このテーマでもちきりです。当局内は、包括否認規定のことを「伝家の宝刀」と呼んだりします。すなわち、鞘から抜いてしまったら意味がなく、抜くぞ抜くぞ威嚇して、牽制させることに意味があるというのが目的という解釈ですね。 簡単にはコメントできないテーマなので、詳細な検討は、別の機会に記載したいと思いますが、国税出身者の感覚(私見)からすると、行為のほとんど(半分以上)が税金を削減するために行われた行為は包括否認規定の対象になって良いと考えています。税理士さんの多くが考えているのでは、税金目的100%・その他形式だけの理由しかない場合のみ、包括否認の対象となるべきですね。理由は、租税法理論と課税実務は異なからと考えています(租税法律主義【法的安定性】と租税公平主義の均衡)。


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