セミナー内容の補足を記載しました

昨日のセミナーで時間の都合上、説明が足りなかったと思われた部分を質疑形式で記載しておきましたので、ご参考にしてください。

【セミナー内容の補足】

Q1  子会社に対する役務提供取引につき、直接費だけではなく間接費まで含めて請求すべきという根拠規定はどこにありますか?

A1  移転価格事務要領2-10(1)に記載されています。ここでは本来の業務に付随して行わる技術指導等については、原価基準法に準ずる方法で良いとされています(つまりマークアップは不要)。ただし、直接費だけではなく、原則として、合理的な基準に配賦基準によって計算された間接費等まで含まれるとされています。 【セミナー配賦資料:横版の2ページ目左下段~2ページ目右上段】

 

Q2  子会社に対する役務提供取引につき、子会社に請求しなくても寄附金課税を回避する方法はないでしょうか?

A2  移転価格税制の適用に当たっての参考事例集25に参考となる例が記載されています(移転価格事務要領と同じく国税庁が作成しています)。ここでは、同じような子会社に対する役務提供取引について、①子会社を財政的に支援する目的で行う場合と、②親会社としての責務であるとして対価を回収していない場合のパターンが挙げられています。【セミナー配賦資料:横版の2ページ目左下段~2ページ目右上段】

 

Q3  前回の税務調査で寄附金課税が行われ、当社はその後毎期継続して指摘された内容について、寄附金として自己否認処理しています。結果的に二重課税となり、当社グループの実効税率を上げる結果となってしまっていますが、仕方ないのでしょうか?

A3  寄附金課税は、本来子会社から回収すべき役務提供の対価について、贈与等の意思を持って回収しなかった場合にのみ課税が行われるべきであり、二重課税が永続的に続くような状況は、二重課税の排除という国際課税の大原則からもおかしい処理ではないかと思われます。実務的な対応策としては、何らかの形で海外子会社から回収するように方法を検討する(現地での損金算入の可能性・送金の可否・製品の価格やロイヤリティに含めて回収することはできないか)ことが考えられます。もしくは、親会社から海外子会社に対して行う役務提供の内容を精査し、Q2で挙げたような親会社負担として損金算入できるような方法に変更していくことが望ましいと考えています。いずれにせよ、過去の税務調査において指摘されている事項については、将来の税務調査においても確認されることが多いので、十分な検討を行った上処理方針を決定されることをおススメしています。


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