【コラム】専門家として一番嬉しい時

久々にコラムなど。

最近、さまざまな同業専門家の方々から業務支援のご依頼をいただくことが増えてきました。一番、やりがいを感じるのが、やはり税務調査のご支援です。その中でも、一番嬉しい瞬間が、「八幡谷さんにご依頼して、安心して税務調査を受けることができました」と安堵の表情をみせていただく時です。これは、大企業の担当者の方でも、個人事業主の方でも一緒です。

そんな表情を拝見して嬉しい気持ちになるとともに、もっと事前にきちんと備えておけば、こんなに問題になることなかったのに、もっと節税できたのにと思うことは多々あります。

今年もそんな啓蒙活動を、社内セミナー・勉強会などを通じて、お知らせしていければと思います。


【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について

いつも堅い内容のブログが多いので、今回は趣味の一つである将棋の考え方について、税務調査の対応(備え)にリンクさせ少し書いてみようと思います。将棋がお好きな方なら、分かっていただけるのではないかと思います。

私が尊敬する羽生善治さんの著書の中にこのような記載があります。

「将棋に三手の読みという考え方があります。一手目、自分にとって最善のベストの選択を探します。二手目に、相手にとって最善のベストの選択を探します。つまり、自分にとってもっとも困る一手・選択を考えることです。三手目、それを受けてその手に対して、もっとも有効な手を返します。」

ここで重要なのは、二手目の相手の最善手を知らず知らずのうちに、自分の価値観で読んでしまっているが、それでは最善の読みになっていないということがポイントです。Aさんならこういう手が来るだろう、Bさんならこういう手が来るだろうということをいかに手広く考えることができるかです。私の分析ではこの可能性を先入観なしに、幅広く読むことができているのが、羽生さんの最も優れていて勝ち続けることができている要因ではないかと思っています。20代で7冠タイトルを制覇され、40代半ばでいまだに4冠(現在、5冠目に挑戦中です。)

これを税務調査に対応する際の考え方で応用してみたいと思います。企業の経理担当者の皆様とお話していてたまに思うことがあるのは、一つの税法解釈について、その企業にとって都合のいいように解釈しすぎていることがあるなあと思うことがあります。一つのグレーゾーンの税法解釈をする際には、いろいろな可能性を想定しながら、税務調査官がいろいろな角度から質問してくることに適切に迅速に回答をする必要があります。その際に、相手(調査官)の立場にたって、もっとも自分にとって不利な質問を事前に想定することができるかどうかが、キーポイントになってくると思います。いろいろな角度で考えるということは、多少時間がかかることかもしれませんが、考える時間はどこでもいくらでも可能ですし、そういう可能性を考えること(一種のロジカルシンキング)が好きかどうかという才能もあるかもしれません。

しかし、これはもともとハンデキャップマッチの要素があり、企業の税務担当の皆様はそのような質疑応答を想定することに慣れていないが、税務調査官はいろいろな企業に行ってその場ごとに質疑応答を繰り返し、そのような想定応答について日々訓練されている訳です。自分自身の経験を振り返ってみても、自然と相手の回答を意識(想定)しながら、質問を考えるという習慣が身についているような気がします。企業の担当者は、通常業務として数字の組み立てといった作業を中心とした仕事から、このようなロジカルシンキングといった深い思考を要求される仕事など、多様な業務に対応する必要があります。税務調査対応について、国税OBの税理士が頼りにされるのは、このような点があるのかもしれませんね、、、(一意見です)。


【コラム】欄

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【コラム】専門家として一番嬉しい時

【コラム】私の国際税務情報入手法 ver2

【コラム】私の国際税務情報入手法

【コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか?

【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について

【コラム】ひとり税理士

【コラム】できる税理士

など、思いつくままに書いています

 


【コラム】私の国際税務情報入手法

私の税務情報入手方法をご紹介してみます。税務セミナー等でご紹介することも多いですが、ご参考まで。

(担当者…企業の税務担当者向け、専門家・・・税理士・会計士などの専門家向け)

○交流会の開催(グローバルタックスラボ、当方主催)【担当者・専門家】

http://yawatax.com/globaltaxlabo/

参加費は、1回3千円です(たまに無料の回もあります)。セミナーとは異なり、自分の聞きたいことを講師に直接質問できることが最大のウリです。専門家どうしの人材交流的な要素もあります。講師もお話を準備する中で、勉強できるという利点もあります(なので、ぜひ講師としてもご応募歓迎です!)

○ツイッターによる情報収集【担当者・専門家】

 https://twitter.com/globaltaxlabo

大手税理士法人や一橋大学の吉村先生(@masayoshimu)のツイート等を参考にすることが多いです。とにかく情報の速度はピカイチ。私もできるだけコメントしたり、備忘的にリツイートしたりしているのですが、なかなか深く情報分析できる時間は取れていないのが、残念。

○国際税務研究会(税務研究会主催)【担当者】

 http://www.zeiken.co.jp/mgzn/inter_kaiin.html

 年会費108,000円(会員)。最近、少し重要度が下がってきているかも(少し前の方がセミナー充実していた)。企業の方で国際税務初心者だが、何から勉強して良いのか分からない場合に、お勧め。佐和周先生(国際税務)や藤井恵先生(海外駐在員)のセミナーがお勧め。

○日税国際税務フォーラム【専門家】

https://www.nichizei.com/nbs/zeirishi/consulting/member/international/

 年会費54,000円で年12回までメールで相談を受けることができます(太陽グランドソントンの方が回答をくれます)。質問によっては、多少時間がかかることも。たまにしか国際税務に触れない税理士さんや中堅税理士法人さんにお勧め。

○ニュースプロ(ロータス社)【専門家】

http://www.lotus21.co.jp/works/pro/pro_gaiyo.html

 月額12,960円。国税当局の動向などここでしか入手できない情報があるので、いいお値段ですがやめられない。

○専門誌の購読【担当者・専門家】

税務通信・TAマスター(週刊)

税務弘報・税経通信・税理・租税研究(月刊)など

○経済産業省国際租税のレポート【担当者・専門家】

http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/kokusaisozei.html

経済産業省の委託調査費で、主に大手税理士法人の方々が、年1回程度レポートを出しています。特に海外の現地国での課税の動向などは、お役立ち。

書籍

国際税務に関する書籍は、文庫なども含めて、できるだけ購入しています。

 

こうしてみると、それなりに費用・時間がかかりますね。

最後にやはり、私にとっては国際税務の専門家や仲間とのディスカッション等が、何より重要と思っています。やはり自分で書籍等を読んでいるだけやセミナーに出ているだけでは、表面的な知識は身についても、税務に対する考え方(応用も含め)・実践の税務調査でどのように説明・反論するかを会得することは相当難しいでしょう。やはり良いアドバイザーをみつけることと(宣伝?)、ある程度の実務経験の積み上げ(5年~10年程度)が大切かと思います。専門家は情報に対して対価を支払う時代に(旧来型の事務所は規模拡大第一で、新人を育てて戦力にすることに費用・時間を費やす)、企業はノウハウや時間の節約に対して対価を支払う時代に(以前は、社内人材を育成することに費用・時間を費やす、今は転職があたり前となりアウトソーシングの時代ですね)変わってきているのでは。


【コラム】私の国際税務情報入手法 ver2

前回、記事を書いてからの変更点をアップデートします。

(前回の記事は、以下リンクより)

http://yawatax.com/?p=593

○専門誌の購読【担当者・専門家】(追加)

大規模法人向けの情報については、雑誌「経理情報」(中央経済社)を参考にすることが多いです。

会計と税務がバランス良く特集されており、大規模法人の担当者にとっては、税務通信・TAマスターより有用な記事が多いと思います。

○勉強会への参加【専門家】

税理士さん向けです。

知人の税理士さんが開催されている勉強会です。税理士会の認定単位も取得できるケースがあるので、ご参加させてみていはいかがでしょうか?

当方もたまに講師を担当させていただいております。

・国際税務実務研究会(大阪)

http://internationaltax.jp/

 

 


【コラム】税務の判断に答えはない

 税務のご相談を受けていて、税務にセンスがある方とない方を見分ける方法の一つとして、①答えがあるのでは?と考えて〇か×かを判断しようとするか、それとも、②唯一の答えはないけれども自社が採用しようとする方法についての理論づけをするために税務の考え方を整理しようとする(根拠となる規定の確認や他社事例など収集するを含む)のスタンスで、その方の税務に関する力量が分かることが多いです。また、税務とは常にグレーゾーンをどう判断するかの論点が大きく、自社の考え方が税務調査で通用するのか、また自社の考え方を説明した際に税務当局側がどのような観点で違う判断をしてくるかを事前に考えを整理しておく(ロジカルシンキング)しておくことが重要です。経験上、①の判断をする方の特徴は、「自社の考え方が絶対に正しいと信じて甘く判断する」「税理士に〇か×かを質問してくる」感じです。一方で、②の考え方ができる方の特徴は、「答えは探すのではなく作るという感覚を持っている」、また税務当局側はこういった視点で判断してくるのでは?というアドバイスに対して「なるほど!」と謙虚に相手側の思考過程を受け入れることができることが大きな特徴です。やはりビジネスでも、税務判断でも、字頭の良さ、もしくは違う考え方に当たった時の柔軟な思考修正ができることが大きな武器となるように思います。

 また、税務判断に迷う時には、決断に必要な「情報が十分に集まっていない」状況が高いです。①法令通達など、判断に必要な根拠となる規定が100%集まっているか、②事実認定に必要な、そのあてはめを行うための情報が100%集まっているか、③判断の参考となる先例(裁判例・裁決事例)、③その他専門家から収集した他社事例(該当があれば)が集まっているか、を総合的・客観的に振り返ってみることが有用です。

 税務グレーゾーンにおけるリスクとは、裏を返すと、きちんと理論武装ができて、「否認を受ける」かそれとも「税務調査をパスする」かによって、大きく結果が異なることによる、最大のチャンスでもあります。このようなグレーゾーンの見極めについては、目に見えにくい世界であるため、税務に不慣れな方が気づきにくい点ですが、きちんと理論検討を行うことにより、大きなキャッシュをもたらすことができるチャンスといえます。

過去のコラムで以下のようなものもありますので、柔軟な、「ヤワな」思考過程を作るためのヒントとしてご活用ください            

【コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか? | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

 


【コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか?

企業の税務担当者の方から、たまに相談される話を少し。

グレーゾーンの税務判断について、何人かの税理士に質問した際に、税理士によって答えがばらばらでどう判断すればよいのか困るというものです。考え方によって答えが異なるからこそグレーゾーンという言えるのかもしれません。税務調査官と議論するためにも、いろいろな意見を知って考えておくことは大切だと思いますが、実務処理を進める上では一定の判断ルールを持っておく必要がありそうです。

私であれば、もっとも説得力のある根拠を示してくれている意見を採用するという方針にします。できれば、「①文理解釈(法律を文字どうりの解釈する方法)、②立法趣旨、③他社事例(その分野の実務動向を把握している)」の3点について、納得感のある回答をくれた税理士の意見を採用すると思います。裏をかえせば、他の実務事例を参考として示せないようなレベルであれば、参考の実務書読んで答えているとの何も変わらないですね。税理士選びの際のコツにもなると思います。

大規模法人では、税理士等の特性にあわせて、①大手税理士法人(BIG4など、広範な経験を有している)②国税OB(審理畑の方など、実務経験・税務リスクの見極めが豊富)③法律事務所(裁判までの対応を見据えた対応が可能)を使い分けている例もあるようです。もちろん案件の金額感・影響度に併せて、どこまで意見を聞くかという見極めも必要ですし、大手ではタイムチャージでの関与というのが一般的になっている(必要に併せて時間単位で税務相談する方法)ことも大きいと思います。自分の例であれば、②が中心となるかと思いますが、税務リスクの見極め(税務調査で争点が議論になった際に職権で更正処分されるレベルか、そのレベルではないので議論・問題提起で終了するのか、の可能性の大きさを判断する)のが得意分野ではないかと考えています。

企業の担当者の皆様に求められるのは、各専門家から得る回答の精度の見極める力と、その回答にあたって何を根拠にしているかという点の確認が重要ではないかと考えています。


【コラム】視聴されている回数が多いベスト3

【税務の判断に答えはない】

【コラム】税務の判断に答えはない | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

【税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか?】

コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか? | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

【【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について】

【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)


【サービス案内】(税務申告書レビュー)のご案内(4~6月)

毎年、ご案内しております申告書チェックサービスのご案内です。

近年、国際税務関連の申告書別表は複雑化しており、企業の皆様が自力で作成するとミスが多くなるようで、今年はじめて国税庁から大企業向け申告書の謝りやすい事例集なども出るようになりました。

調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/pdf/0023003-129.pdf

まずは、申告書を正しく作成していただく→その内容を理解して国際税務の全体制度をご理解いただき→予期せぬ税務リスクが発生しないように理解を深めていただく

ということを目的に、この時期に申告書チェックサービスを提供しております。http://yawatax.com/?p=930

通常の顧問契約を締結している法人様向けや税理士などの専門家向けのサービスは、別途、いくつか別形態でご提供させていただているケースもありますので、お気軽にお問い合わせください。

(対象イメージ:上場企業で経理部門の人員不足・国際税務の理解不足で困られているケース、非上場企業でも大規模で(年商数百億円~)国際税務のアドバイスを聞く人がいなくて困られているケース、一定規模以上の税理士法人でクライアントに国際税務に関連する申告書作成・税務相談があるが相談する相手がおらず困られているケース、など)


【サービス案内】(税務申告書レビュー)のご案内(4~6月)

毎年、ご案内しております申告書チェックサービスのご案内です。

近年、国際税務関連の申告書別表は複雑化しており、企業の皆様が自力で作成するとミスが多くなるようで、昨年から国税庁から大企業向け申告書の謝りやすい事例集なども出るようになりました。

まずは、申告書を正しく作成していただく→その内容を理解して国際税務の全体制度をご理解いただき→予期せぬ税務リスクが発生しないように理解を深めていただく

ということを目的に、この時期に申告書チェックサービスを提供しております。http://yawatax.com/?p=930

通常の顧問契約を締結している法人様向けや税理士などの専門家向けのサービスは、別途、いくつか別形態でご提供させていただているケースもありますので、お気軽にお問い合わせください。

税務申告書レビューのサービスを通じて、以下のようなお困りごとにも対応していければと考えております。そのきっかけとしていただけましたら幸いです。

・グローバルミニマム課税について、対応をしなければいけないが、どこから手を付けたらよいのか分からない、また大手税理士法人からの見積が高く社内稟議でのハードルが高い

・最近は、人材の異動が早く、せっかく育てた経理スタッフが定着しない。定着率が悪いとあまりトレーニングにコストや時間をさけず、国際税務など専門的な分野については、アウトソーシングも視野にいれているがいいコンサルが見つからない。

・結局は、税務の世界は最後は税務当局と上手に交渉できる能力・経験が必要である。あまり固い処理にこだわらずに、最後まで責任をもって国税当局と交渉してくれる顧問税理士が欲しい

(対象イメージ:上場企業で経理部門の人員不足・国際税務の理解不足で困られているケース、非上場企業でも大規模で(年商数百億円~)国際税務のアドバイスを聞く人がいなくて困られているケース、一定規模以上の税理士法人でクライアントに国際税務に関連する申告書作成・税務相談があるが相談する相手がおらず困られているケース、など)