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税務調査対応の理論的支援サービス【一定条件下で優遇あり】

毎年、7月から本格的な税務調査シーズンが開始します。当事務所と税務相談業務をいただいている企業様や過去に税務サービスを受けていただいた企業様から優先的に支援を行いますが(費用的にも優先的なメリットを用意しています)、思わぬ指摘を受けて困られている企業様に随時の支援も可能です。相当程度細かく既存の税理士が関与されている場合においても、国際税務等の検討はノウハウが必要となるため深く検討できていないケースや税務調査の対応には一定の経験則が必要となるため、専門的な税理士がサービスするメリットは大きいと思われます。

是非、想定外の指摘事項を受けて、納得いかないケースなどでは随時のご相談をいただければと思います。税務調査の時点でどうしても決着がつかない場合には、再調査請求(旧:異議申し立て)・審査請求・税務訴訟と救済措置がありますが、近年の税務訴訟等では、納税者側が逆転勝訴するケースも多く、きちんと反論するメリットは大きいです。※そのような対応をすると次回調査以降の調査が厳しくなるのではと懸念されるケースもありますが、実際は逆で、安易に妥協した決着をする方がかえって次回も税務調査に選定されやすいといえます。きちんと理論的な反論ができる企業は、手ごわいという印象を与え、プラスに働く傾向があります。


いずれにせよ、一度更正決定等を受けると、反論を整理するにもそれなりの労力・費用がかかることになるため、事前の分析・理論武装が何よりも重要です。ぜひ、人間ドックを受けるようなつもりで、一度弊事務所の税務リスクチェックサービスをご検討いただくことをおススメします(特にメリットが大きいのは、「課題を見える化」して経営層に(国際)税務に関する問題意識を持っていただくことが大きいと思います)。税務のみならず、経済社会が複雑化した昨今、社内人材だけで専門分野の領域をこなしていくのは至難の業です。適切な外部パートナーを探しながら、チームで体制を構築されることが重要です。

※中堅税理士法人の国際税務相談の対応をしたり、法人税申告書チェック、税務調査支援なども適宜行っています。一定規模以上の企業顧問をされている関与税理士さんからのご相談も承っております。特に、数千万円以上の追徴を指摘されて、対応を困られているケースでのご相談が多いです。

※優遇サービス

過去に弊事務所の有料サービス(顧問契約・プロジェクトサービス・税務調査支援)を受けていただいたことのある企業様には、着手時の最低業務時間を(100時間→50時間)短縮したり、成功報酬方式の料率を一定程度削減して、対応しております。これは、一度弊事務所のサービスをうけていただいた企業様に、長期的にご関与させていただき、必要に応じてオンデマンドでご依頼いただくことの利点を実感していただきたいという思いからさせていただいている優遇サービスとなります。少し接点があってから時間が空いたケースなど、ぜひ、ご遠慮なくお声かけいただければと思います。


税務セミナーフォロー

皆様、税務セミナーにご参加いただき、ありがとうございました。税務セミナーの講師を担当させていただき、5~6年になりますが、延はご参加人数は有料セミナーにもかかわらず数百人を超えていることと思います。皆様の実務対応の参考、税務力の向上の何らかのお役に立ちましたら幸いです。

①価格調整金

 子会社との取引価格について、期末に契約に基づいた利益水準に収めるために(TNMMレンジに収まるために)価格調整金を行う取り決め(契約)について、税務上寄附金課税の対象となるかどうかという議論があります。移転価格事務運営指針3-21では、当該支払いが合理的な理由に基づくものである場合には、寄附金に該当しないとされています。つまり、財政的な支援目的で子会社に支出した場合には寄附金に該当するが、移転価格上の合理的な理由に基づき(TNMM法)、支払う場合には合理性があるため、寄附金に該当しないとされています。実務上留意が必要なのは、移転価格の考え方をすべての税務調査官がしっかりと理解しているとはいいがたく、税務調査の現場では、利益調整として指摘を受ける可能性は現実としてあるということです。保守的な税務アドバイザーの中では、価格調整金のルーツはリスクが高く、相互協議に基づく事前確認申請(APA)の場合にしか使えないと保守的な見解を示しているケースも多いようですが、移転価格の考え方や通達(事務運営要領)の考え方をきっちりと分析する限り、きちんと親子間でTNMMに基づく取り決めを契約しておき、その契約に基づく調整であれば、寄附金で課税(更正決定)されることは不合理と考えられます。一方で、移転価格の考え方がきちんと整理されていないケース(または、事前の明確な契約がないなど)での期末調整は、単なる「利益調整」として寄附金課税されるリスクは大ですので、移転価格上の正当な「利益調整」とその他の「利益調整」は紙一重であるため、事前の整理・理論構築は重要な税務論点であるといえます。

②保証料

 我が国の移転価格税制や通達上、保証料に関する明確な規定はないため、租税法律主義を重視する観点からは、保証料を取らなければ課税を受ける(更正決定を受ける)というルールはありません。一方で、第三者取引と比較した際に、保証した当事者が何のメリットもなくリスクを引き受けるとは考えにくいため、引き受けたリスク+一定のマージンを徴取しようとすることは一般的であると思われます。税法理論としては、種々の考え方がありますが、実践的な税務調査理論的な観点でいえば、税務調査で指摘を受けても明確なメリットが数字として出せない以上、進んで修正申告をする必要がない、ただし税務調査時の無用の指摘を回避するのであれば、事前に最低限度の保証料を徴収しておくのがベターという方向性になろうかと思います(保証料について、現地国で源泉徴収されるようなケースでは、外税控除の論点も生じます)。

いずれにせよ、税務調査で指摘を受けた際には、税務調査官から指摘内容に関する根拠(ロジック)をきちんと確認し、税法理論として妥当な指摘なのかをきちんと確認することが何よりも重要です


海外(子会社)の税務リスク対応

企業のグローバル展開が成熟した昨今、国際税務の論点は、日本親会社の国際税務リスクのみならず、各現地法人における税務リスクも著しく増加してきています。下記資料(経済産業省資料)の44ページ以降などご参照ください。https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/itaxseminar2020/23_questionare_hearing.pdf

ここで企業としてきちんと対応すべきなのは、現地の税制を現地役員や現地出向社員まかせにするのではなく、親会社の税務担当(もしくは海外事業・経営企画室等)がきちんと把握して、事前対応しておくことが大切です。現地での税務リスクには、移転価格税制による課税やPE課税など、親会社が主体的に関与することで、二重課税リスクを防止したり、不要なコンプラアンスコストを大きく削減したりすることができます。このあたりの追加税金(費用を含む)は、なかなか現実のリスクにならないと目がいきにくいところですが、何よりも事前の検討及びコントロールが大切です。税務対応というとコンプライアンスコストで企業にとって価値を生み出さないものと考えがちですが、税金もコストの一種を考えると、きちんと原価管理してコントロール下におき、上手にプランニングすることによって企業に大きな価値(キャッシュ)を生み出すことができるアイテム(項目です。是非、専門家を上手に使い分けながら、適切な税務戦略をつくっていただければと思います。

 


【コラム】税務の判断に答えはない

 税務のご相談を受けていて、税務にセンスがある方とない方を見分ける方法の一つとして、①答えがあるのでは?と考えて〇か×かを判断しようとするか、それとも、②唯一の答えはないけれども自社が採用しようとする方法についての理論づけをするために税務の考え方を整理しようとする(根拠となる規定の確認や他社事例など収集するを含む)のスタンスで、その方の税務に関する力量が分かることが多いです。また、税務とは常にグレーゾーンをどう判断するかの論点が大きく、自社の考え方が税務調査で通用するのか、また自社の考え方を説明した際に税務当局側がどのような観点で違う判断をしてくるかを事前に考えを整理しておく(ロジカルシンキング)しておくことが重要です。経験上、①の判断をする方の特徴は、「自社の考え方が絶対に正しいと信じて甘く判断する」「税理士に〇か×かを質問してくる」感じです。一方で、②の考え方ができる方の特徴は、「答えは探すのではなく作るという感覚を持っている」、また税務当局側はこういった視点で判断してくるのでは?というアドバイスに対して「なるほど!」と謙虚に相手側の思考過程を受け入れることができることが大きな特徴です。やはりビジネスでも、税務判断でも、字頭の良さ、もしくは違う考え方に当たった時の柔軟な思考修正ができることが大きな武器となるように思います。

 また、税務判断に迷う時には、決断に必要な「情報が十分に集まっていない」状況が高いです。①法令通達など、判断に必要な根拠となる規定が100%集まっているか、②事実認定に必要な、そのあてはめを行うための情報が100%集まっているか、③判断の参考となる先例(裁判例・裁決事例)、③その他専門家から収集した他社事例(該当があれば)が集まっているか、を総合的・客観的に振り返ってみることが有用です。

 税務グレーゾーンにおけるリスクとは、裏を返すと、きちんと理論武装ができて、「否認を受ける」かそれとも「税務調査をパスする」かによって、大きく結果が異なることによる、最大のチャンスでもあります。このようなグレーゾーンの見極めについては、目に見えにくい世界であるため、税務に不慣れな方が気づきにくい点ですが、きちんと理論検討を行うことにより、大きなキャッシュをもたらすことができるチャンスといえます。

過去のコラムで以下のようなものもありますので、柔軟な、「ヤワな」思考過程を作るためのヒントとしてご活用ください            

【コラム】税理士によってばらばらの回答を得たとき、どう判断するべきか? | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

【コラム】将棋三手の読みと税務調査対応の思考について | 八幡谷幸治 税理士事務所 (yawatax.com)

 


税務セミナー補足

昨日は、税務セミナーへご参加ありがとうございました。セミナーの中でも、ご紹介した有用なリンク先について、下記に張り付けておきますので、ご参考にしてください。

〇国税庁 「外国子会社合算税制に関するQ&A(平成29年度改正関係等)(情報)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180111/index.htm

〇経済産業省 CFC税制の改正について(経済産業省「国際租税」)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/cfc/PDF/170822_cfc.pdf

○外国子会社合算税制における課税上の取り扱いについて(日本租税研究協会)https://www.soken.or.jp/sozei/wp-content/uploads/2019/09/201409gaikoku.pdf

○平成 27 年度内外一体の経済成長戦略構築に係る国際経済調 査事業(対内直接投資促進体制整備等調査(BEPS を踏まえた 我が国の CFC 税制等の在り方に関する調査))

 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000406.pdf


大阪商工会議所税務セミナー(外国子会社合算税制、タックスヘイブン税制)

来年も、タックスヘイブン対策税制のセミナーをやります(Zoom形式)。親会社12月決算、海外子会社12月決算の場合、令和2年12月末決算が税制改正後の適用初年度になりますので、知識の整理にお役立ちできればと思います。https://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/202012/D11210219014.html

以下のようなポイントを中心に解説しようと考えています。

①平成29年税制改正で何が変わったのか、適用が開始される時期は。

②タックスヘイブン税制の仕組みは。

③税務調査でタックスヘイブン税制に関連して、どのような否認パターンがあるのか。


セカンドオピニオンの活用

当事務所には、以下のようなケースでセカンドオピニオンとしてのご依頼があるケースがあります。税務には、グレーゾーンがつきものであり、白黒はっきりとしない論点(争点)について判断(ジャッジ)が困るケースがつきものですが、当方が重要しているのは「納得感」です。そのためには、その「判断」を行うにあたって何をもって根拠とするのかが重要だと思います。

・税務調査で税務当局からの指摘事項につき「納得感」がない(顧問税理士の説明(反論)についても、根拠が明確でなく「納得感」がないようなケース)

→課税要件の整理と事実認定に至るプロセスを納得いくまで説明を求め、あいまいなようであれば、修正申告に応じないという断固とした信念が必要(税務当局が勧奨する事項に納得感があり、理にかなっているのであれば、早期決着や対応コストを削減する観点から、修正申告に応じるのも有用)

・大手税理士法人からコンサルを進められているが、見積金額に「納得感」がない(なぜそのような工程が必要であり、それを対策しなかった場合のリスク度合いの確率に関する説明・根拠があいまい)

→大手税理士法人・中小コンサル・国税OB・弁護士法人(税務対応)などの使い分けが必要であり、そのコンサルの目的・費用に応じて、適切な外部コンサルを活用する。コンサル費用を削減するのが有用なのではなく、目的に応じて、適切に使いこなすことが重要(製造業における原価管理と同じ)。税務リスクは目に見えないこともあり、安易に「自社のような規模には関係のない論点である」、「事業部は経理の言うことは聞いてくれないのであきらめる」といった言い訳は無用。手をぬかずに考え抜くことで、会社に適切な貢献ができる(とはいえ、一定のやり過ごしも重要なので、客観的に適切な判断がされているのかどうか、他社事例・金額重要感からの適切な判断が肝心)

 


【コラム】仕組み(実務)や法律を理解すると見えなくなるもの

税制には、複雑な仕組みのものがありますが、国際税務や移転価格制度は典型的な例です。税務セミナーで移転価格制度を解説する際には、「取引の価格」を比較するのではなく「利益率を比較する(会社を比較する)」ということが分かれば、一気に理解が進みますといったポイント解説を心がけています。しかし、会社を比較するといっても、まったく同じようなことをやっている子会社がそうそうあるわけではなく、そのような客観的な方法を使って、取引価格の妥当性を逆算して、割り切りの検証をしているだけですよ、というのはなかなか一般の方には分かりずらい仕組みです。(イメージでいえば、所得税の所得計算を、個別の経費性に応じて可否を決めるのではなく、同業者平均の利益率でトータルの所得の妥当性を検証する方法。所得税では使えなくなった計算方法ですが、最新の国際税務では古い方法に戻っているのが面白いところです。※この経費がOKかどうかではなく、〇〇業なら、売上の〇〇%ぐらいまでの経費はOKですよ、といったイメージ)(製造子会社で広告宣伝機能リスクがなければ、平均原価率〇~〇%まではOK、それならば親子間の取引価格は逆算してもOKです、といった仕組みです)

したがって、企業の移転価格税制に関する対応をうまくコンサルするためには、税制の仕組みや実務を理解するだけではなく、実際にやっていく人の「気持ち」や「考え方」を理解することが何よりも重要かと思っています(たとえ、間違っていたとしても)。移転価格の税務コンサルと接していて、正しいことの説明を受けていたとしても、企業がこれまで整理した考え方や本来、どうあるべきか、税務リスクへの向き合い方などをきっちりと勘案しながらアドバイスできていなければ、きっと良い解決はうまれないでしょう。実務を理解しすぎると、かえって一般的な考え方や本来どうあるべきかが見えなくなるといったことがあるのかな、と最近、思うことが多いです。

似たような例で。税務調査では、国税当局から思ってもいないような指摘事項を受けることがあります。よく勉強されている税理士さんや弁護士さんだと、「課税要件事実」の考え方に基づき、どういった事実認定による課税なのか、まったく理解できない、という声もきくことが多くあります。また、憲法に規定する「租税法律主義」の下、明確な税法上のルールがなければ、税務調査で更正決定を行うことはできない、という考え方も根強いです。一方、国税当局の視点で考えると、「課税は公平であるべき」「法律はあくまでも一定の基準を示したもので、グレーゾーンは事実認定で解決すべき」という考え方になります。こころがけるべきは、納税者サイドとしては、形式的な要件のみを重要視するのではなく、実態としても、課税上問題ないですよ!と実態に即した説明を相手(国税)目線できちんと主張できているか、国税サイドとしては、あるべき論だけではなく、事実認定から法律へのあてはめまでのプロセスの詳細な説明、法令・通達の解釈により、こういったケースではこのような結論が妥当です、といった制度趣旨に基づき納税者を納得させるような分かりやすい説明が求められていると考えています。納税者は要件史上主義、国税は理念史上主義、といった感じですが、その間に入る通訳(専門家)としては、双方の考えを理解しながら、上手に答えのない結果を導くといったところでしょうか。

また、法律というのはあくまでも制裁的な線引き(ルール)の指針を定めたものにすぎず、実際には制度の秩序を守ることが行政の役割なのかな、と捉えています。制限速度40Kの道路を走っている60kの車をスピード違反で検挙すべきではないですし、また30Kオーバー(赤切符)の車を見逃すのも許されることではないでしょう。無申告を繰り返すような悪質な納税者や脱税スキームを構築・利用するような納税者は厳しく追及すべきですし、きちんと申告書を提出している納税者の重箱のスミをつついて点数かせぎするような調査や事実認定が甘い状態で多額の追徴課税をふっかけて交渉する恫喝的な調査は行うべきではありません。税務調査とは、税法を守っているかどうかを調べているのではなく、自主申告納税制度といった制度の秩序を守っているのでしょう。

 


税務調査シーズン到来

10月から税務調査が再開され、納税者の方に税務調査の事前連絡がつぎつぎと入っているようですが、当事務所は法人様向けの対応がメインであり、飛び込み(税理士の紹介なし)の個人の方への税務相談・立ち合い等は、キャパシティとの関係から残念ながら遠慮させていただいております。

富裕層の方向けの調査で高額の追徴課税の指摘を受けた場合・国際税務の高度な論点で顧問税理士さんの後方援護をご依頼いただく場合など、限定的にご支援しております。ご理解どうぞ、よろしくお願いします。

個人の方(一般納税者の方)は税理士さん等のご紹介があった場合のみ、ご相談を承っております。また法人の方は、説明責任を明確にする必要があることから顧問契約を前提にご相談を承っておりますので、ご了承ください。http://yawatax.com/?page_id=158

顧問税理士を通じたご紹介のみ対応している理由は、以下のようなものです。

・専門家どうし共通の前提知識があるため、アドバイスをした際の理解が早い

・納税者と顧問税理士の関係が良好であり、そのようなケースでは納税者から専門家に対する一定のリスペクトが存在しており(報酬相場感を含む)、アドバイスしがいがある