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デジタル経済下における国際課税のあり方

「デジタル経済下における国際課税のあり方について」、経済産業省の研究会の会議資料等が公開されています。https://www.meti.go.jp/shingikai/external_economy/international_taxation/pdf/20210819_2.pdf

ピラー1のデジタル課税については、現在のところ、相当対象企業を限定されそうな方向性ですので、実務に影響があると思われるのはピラー2の方です。コンセプトとしては、タックスヘイブン税制と同様のような仕組みになると想定されますが、既存のCFC税制との整合性、適用対象企業の範囲などについて、しっかりと改正動向を把握しつつ、現在の外国子会社合算税制ととりくんでいただければと思います。


ニュースレター発行(2021年6月)

今月号のテーマは、

・アメリカ合衆国の税務当局との仲裁手続に係る実施取決

です。相互協議によって、国際的二重課税が排除されない場合(例えば、移転価格課税による二重課税調整が妥結できないような場合)に、第三者国の仲裁手続きが可能となります。
 


国際化対応の人材活用

日経新聞7月5日号に、国際税務対応で苦労する企業の特集がされていました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73505010S1A700C2TCJ000

国際税務を担当できる人材を採用しようとしても、超大手企業であっても苦労されていることが取材されていました。また、大手税理士法人にアウトソーシングしようとすると、多額の費用がかかることが想定されます。事業の選択と集中と同じように、国際化対応にもコツがあり、比較的単純な作業は外注し、海外子会社管理など企業のトップ人材が対応すべきテーマは社内で対応するというものです。アウトソーシングというと難しいテーマを外注するしかないという風に考えがちですが、単純な作業を外注し、一方で困難なテーマを社内化するというのは、立派な選択肢です。国際税務に対応できるいい人が取れない、難しい分野を外注すると多額の費用がかかって予算が取れないと悩んでいるだけではなく、発想の転換も必要かもしれません。

「本社の税務担当は、よりリスクの高い海外子会社の税務処理や税務当局への対応に集中する」(大手商社幹部)という。


税務調査対応の理論的支援サービス【一定条件下で優遇あり】

毎年、7月から本格的な税務調査シーズンが開始します。当事務所と税務相談業務をいただいている企業様や過去に税務サービスを受けていただいた企業様から優先的に支援を行いますが(費用的にも優先的なメリットを用意しています)、思わぬ指摘を受けて困られている企業様に随時の支援も可能です。相当程度細かく既存の税理士が関与されている場合においても、国際税務等の検討はノウハウが必要となるため深く検討できていないケースや税務調査の対応には一定の経験則が必要となるため、専門的な税理士がサービスするメリットは大きいと思われます。

是非、想定外の指摘事項を受けて、納得いかないケースなどでは随時のご相談をいただければと思います。税務調査の時点でどうしても決着がつかない場合には、再調査請求(旧:異議申し立て)・審査請求・税務訴訟と救済措置がありますが、近年の税務訴訟等では、納税者側が逆転勝訴するケースも多く、きちんと反論するメリットは大きいです。※そのような対応をすると次回調査以降の調査が厳しくなるのではと懸念されるケースもありますが、実際は逆で、安易に妥協した決着をする方がかえって次回も税務調査に選定されやすいといえます。きちんと理論的な反論ができる企業は、手ごわいという印象を与え、プラスに働く傾向があります。


いずれにせよ、一度更正決定等を受けると、反論を整理するにもそれなりの労力・費用がかかることになるため、事前の分析・理論武装が何よりも重要です。ぜひ、人間ドックを受けるようなつもりで、一度弊事務所の税務リスクチェックサービスをご検討いただくことをおススメします(特にメリットが大きいのは、「課題を見える化」して経営層に(国際)税務に関する問題意識を持っていただくことが大きいと思います)。税務のみならず、経済社会が複雑化した昨今、社内人材だけで専門分野の領域をこなしていくのは至難の業です。適切な外部パートナーを探しながら、チームで体制を構築されることが重要です。

※中堅税理士法人の国際税務相談の対応をしたり、法人税申告書チェック、税務調査支援なども適宜行っています。一定規模以上の企業顧問をされている関与税理士さんからのご相談も承っております。特に、数千万円以上の追徴を指摘されて、対応を困られているケースでのご相談が多いです。

※優遇サービス

過去に弊事務所の有料サービス(顧問契約・プロジェクトサービス・税務調査支援)を受けていただいたことのある企業様には、着手時の最低業務時間を(100時間→50時間)短縮したり、成功報酬方式の料率を一定程度削減して、対応しております。これは、一度弊事務所のサービスをうけていただいた企業様に、長期的にご関与させていただき、必要に応じてオンデマンドでご依頼いただくことの利点を実感していただきたいという思いからさせていただいている優遇サービスとなります。少し接点があってから時間が空いたケースなど、ぜひ、ご遠慮なくお声かけいただければと思います。


海外(子会社)の税務リスク対応

企業のグローバル展開が成熟した昨今、国際税務の論点は、日本親会社の国際税務リスクのみならず、各現地法人における税務リスクも著しく増加してきています。下記資料(経済産業省資料)の44ページ以降などご参照ください。https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/itaxseminar2020/23_questionare_hearing.pdf

ここで企業としてきちんと対応すべきなのは、現地の税制を現地役員や現地出向社員まかせにするのではなく、親会社の税務担当(もしくは海外事業・経営企画室等)がきちんと把握して、事前対応しておくことが大切です。現地での税務リスクには、移転価格税制による課税やPE課税など、親会社が主体的に関与することで、二重課税リスクを防止したり、不要なコンプラアンスコストを大きく削減したりすることができます。このあたりの追加税金(費用を含む)は、なかなか現実のリスクにならないと目がいきにくいところですが、何よりも事前の検討及びコントロールが大切です。税務対応というとコンプライアンスコストで企業にとって価値を生み出さないものと考えがちですが、税金もコストの一種を考えると、きちんと原価管理してコントロール下におき、上手にプランニングすることによって企業に大きな価値(キャッシュ)を生み出すことができるアイテム(項目です。是非、専門家を上手に使い分けながら、適切な税務戦略をつくっていただければと思います。

 


大阪商工会議所税務セミナー(外国子会社合算税制、タックスヘイブン税制)

来年も、タックスヘイブン対策税制のセミナーをやります(Zoom形式)。親会社12月決算、海外子会社12月決算の場合、令和2年12月末決算が税制改正後の適用初年度になりますので、知識の整理にお役立ちできればと思います。https://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/202012/D11210219014.html

以下のようなポイントを中心に解説しようと考えています。

①平成29年税制改正で何が変わったのか、適用が開始される時期は。

②タックスヘイブン税制の仕組みは。

③税務調査でタックスヘイブン税制に関連して、どのような否認パターンがあるのか。


セカンドオピニオンの活用

当事務所には、以下のようなケースでセカンドオピニオンとしてのご依頼があるケースがあります。税務には、グレーゾーンがつきものであり、白黒はっきりとしない論点(争点)について判断(ジャッジ)が困るケースがつきものですが、当方が重要しているのは「納得感」です。そのためには、その「判断」を行うにあたって何をもって根拠とするのかが重要だと思います。

・税務調査で税務当局からの指摘事項につき「納得感」がない(顧問税理士の説明(反論)についても、根拠が明確でなく「納得感」がないようなケース)

→課税要件の整理と事実認定に至るプロセスを納得いくまで説明を求め、あいまいなようであれば、修正申告に応じないという断固とした信念が必要(税務当局が勧奨する事項に納得感があり、理にかなっているのであれば、早期決着や対応コストを削減する観点から、修正申告に応じるのも有用)

・大手税理士法人からコンサルを進められているが、見積金額に「納得感」がない(なぜそのような工程が必要であり、それを対策しなかった場合のリスク度合いの確率に関する説明・根拠があいまい)

→大手税理士法人・中小コンサル・国税OB・弁護士法人(税務対応)などの使い分けが必要であり、そのコンサルの目的・費用に応じて、適切な外部コンサルを活用する。コンサル費用を削減するのが有用なのではなく、目的に応じて、適切に使いこなすことが重要(製造業における原価管理と同じ)。税務リスクは目に見えないこともあり、安易に「自社のような規模には関係のない論点である」、「事業部は経理の言うことは聞いてくれないのであきらめる」といった言い訳は無用。手をぬかずに考え抜くことで、会社に適切な貢献ができる(とはいえ、一定のやり過ごしも重要なので、客観的に適切な判断がされているのかどうか、他社事例・金額重要感からの適切な判断が肝心)

 


税務調査シーズン到来

10月から税務調査が再開され、納税者の方に税務調査の事前連絡がつぎつぎと入っているようですが、当事務所は法人様向けの対応がメインであり、飛び込み(税理士の紹介なし)の個人の方への税務相談・立ち合い等は、キャパシティとの関係から残念ながら遠慮させていただいております。

富裕層の方向けの調査で高額の追徴課税の指摘を受けた場合・国際税務の高度な論点で顧問税理士さんの後方援護をご依頼いただく場合など、限定的にご支援しております。ご理解どうぞ、よろしくお願いします。

個人の方(一般納税者の方)は税理士さん等のご紹介があった場合のみ、ご相談を承っております。また法人の方は、説明責任を明確にする必要があることから顧問契約を前提にご相談を承っておりますので、ご了承ください。http://yawatax.com/?page_id=158

顧問税理士を通じたご紹介のみ対応している理由は、以下のようなものです。

・専門家どうし共通の前提知識があるため、アドバイスをした際の理解が早い

・納税者と顧問税理士の関係が良好であり、そのようなケースでは納税者から専門家に対する一定のリスペクトが存在しており(報酬相場感を含む)、アドバイスしがいがある

 

 


異動日(7月10日)→新事務年度

7月10日は、国税局の人事異動の日であり、その日から新しい新事務年度が開始されます。コロナの影響でストップしていた税務調査が再開されるような例も出てきているようです。国際税務の対応は、自社や関与税理士様としっかりと事前準備して対応していただきたいところですが、税務調査では思わぬ指摘を受けて困られることも少なくないでしょう(富裕層などの個人の方も同じ)

税務調査で適正に対応を行うためには、国税側の思考や調査プロセスをきっちりと理解しておくことが重要です。関与クライアントの会社様には、その点を意識しながらきっちりと準備しているため、備えは万全です。関与クライアント様の税務調査では、普段の当方のアドバイスの成果が試される場ともいえるため、低価格の完全タイムチャージでご支援しています。最優先で対応。

一方、これまでご関与がなく、税務調査で困られた状況になってから当方を知っていただいてご支援依頼いただくようなケースでは、最初にある程度の着手金をいただき、状況をきっちりと時間をかけて把握したうえで、適切な対応を行います。これから、夏~秋にかけて、税務調査の最盛期となりますが、当社が緊急でご支援することが必要であれば、また適宜ご連絡いただければと思います。

税務調査は、病気と一緒で、税務の不準備(グレーゾーンの未把握など)は突然表面化します。備えあれば憂いなし。困った時に、きっちりと頼れるようなプロフェッショナルを、複数抱えておき、必要に応じて使い分けていただくような時代です。


税務セミナーを終えて

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。すべての論点を網羅的に説明することはできませんでしたが、税務に向き合う姿勢やポイントなどを参考にしていただけましたら、幸いです。複雑化する税務に対応するため、一般税務・特殊税務・税務調査対応・組織再編(M&A)のように異なる分野の個人税理士を使い分けていただくような企業が増えてきています。ちょうどたとえでご説明したサッカーのように、監督だけではなく、フィジカルコーチ・テクニカルコーチ・キーパーコーチなど、それぞれの役割を各専門家に委託して、監督はその総合判断を行う役割になってきています。ぜひ、企業の担当者は各専門家を上手に使いこなす役割を習得していただいたり(目利きを含む)、各事業部に指示・サポートを行う役割を担っていただき、国際化対応に臨んでいただけましたら幸いです。中小企業の社長さんが顧問税理士さんに事業承継の問題をよろず相談するように、中大企業のみなさまも国際化対応を外部のコンサルと相談しながら、進めていく時代なのかなと思っています。(外部コンサルの活用は、コストではなく投資です。適切に見極めて力を発揮させた際には、多大なリターンをもたらすことができるでしょう)。

数字を作る役割から、ポリシーを作る役割へ!ぜひ。